この記事はパッチノート14.9の時に書かれています
この記事の結論を3行で
- 降参は15分からでき、4/5の賛成で通る
- ゲーム時間15分ごろと19分ごろに降参が多い
- ゲーム時間の平均は28分30秒で、多くのゲームが20分後半で終わる
日本サーバーは1番降参が多い
LoLの日本サーバートリビアで「日本サーバーは、降参いわゆるサレンダーが他のサーバーと比べて一番多い」というものがあります。LeagueOfGraphs.comによれば、日本サーバーの降参で終わるゲームの割合がほかの海外サーバーと比べて1番多く、ランクゲームの約40%が降参で終わっています。
個人的には少なくとも自分から降参の提案はしないようにしています。理由は、自分がプレイしているのはブロンズなので、相手も勝ってるゲームの終わらせ方を知らないから「ガチャガチャしてたら勝てるんじゃね?」って思ってるからです。大体のゲームはそのまま負けますが、なぜかゲーム時間が伸びて勝ったゲームもあります。しかし、負けてるゲームを続けることは辛いので、あまりにも勝ち目がないと思っているときに降参投票が提案されれば賛成します。
降参投票が通らないとき、チャットで文句をいうプレイヤーもたまにいますが、「まだ勝てるよ!」とか「ブロンズが正しい判断できるわけないだろ」、「このゲームを続けるのがいやなのはわかるけど、チャットで文句いうのはやめてね」などいろいろと思うわけです。 そして、ゲームが終わった後にゴールド差を確認して「このゴールド差で何で降参するんだよ」 と思う時もあります。このあまり降参をしない方針だと、勝てるゲームを負けゲームにしてしまう「間違った降参」は起きません。逆に、続ける意味が少ない負けゲームをサクッと終わらす「正しい降参」の判断ができていないことになります。しかし、「正しい降参」や「間違った降参」なんてものはあるんでしょうか?また、たとえあったとして、さらに正しい降参が出来ていたとして、ランクやLPの増減は変わるのでしょうか?
降参はプロシーンでは絶対に見ないものの一つです。なので、降参について語られることがが少ないように思います。一方で上記のように(特に日本サーバーでは)ゲームの約40%は降参で終わります。降参投票があったものの降参せずに続けたゲームもあるので、半分以上のゲームでは降参をするかしないかを判断していると推測されます。
そこで「降参」について、今後期間をかけて統計を取ったり、いろいろ仮説を立てたりして調べていきます。この記事は降参について調べる第1弾の記事です。
この記事の調査項目
今回の記事では、以下の2点について調べました。
- 降参投票の仕様
- 日本サーバーのランクのゲーム時間
1は降参について考えるわけですからある意味当然です。特に、ここ1年ぐらいは、たま〜に降参の仕様変更あり、パッチノートにも書かれていました。変更があったことは覚えていても、詳細な変更点はあやふやで、しかも変更点しか書かれないので、全体像を完全に理解している人は少ないのではないでしょうか?そこで、パッチノートを引用しつつサモナーズリフトの降参投票の仕様をまとめます。
2に関しては、なぜプレイヤーが降参を選ぶかと言えば、負けゲームを「さっさと」終わらすためです。そのため、ゲーム時間を調べることは降参について調べる第一歩になると考えました。そこで、Riot APIを使い、現在のゲーム時間がどうなっているかを集計しました。
降参っぽいものは3種類がある
どちらかのチームのネクサスが破壊されずに、ゲームが途中で終了するパターンは「無効試合」「早期降参」「降参」の3種類があります。全て、誰かが提案を行うと、同じチームのプレイヤーに投票ポップアップが出てきます。一定数のプレイヤーが賛成すると提案が通ってゲームが終わる、という部分は同じです。しかし、それぞれに提案できるタイミングや条件が違います。以下の表がまとめたものです。
名前 | 提案できる時間 | 提案できる条件 | 勝敗 |
---|---|---|---|
無効試合 | 1分30秒から3分まで | チームメンバーにAFKがいる | 付かない |
早期降参 | 3分30秒から15分まで | チームメンバーにAFKがいる | 付く |
降参 | 15分から | 特になし | 付く |
無効試合
1分30秒から3分までの間は、一定時間以上AFKになっているプレイヤーが同じチームにいる場合に限り、「無効試合」の提案が出来ます。これは、4人中3人以上の賛成で成立します。成立した場合は両チームに勝敗が付きません。勝敗が付かないのでLPの増減もありません。
早期降参
3分30秒から15分(クイックプレイの場合は10分)までの間は、一定時間以上AFKになっているプレイヤーが同じチームにいる場合に限り、「早期降参」の提案ができます。これも4人中3人以上の賛成で成立します。成立した場合は負けになり、LPの増減もありますが、普通に負けるより減少幅は縮小します。
降参
15分(クイックプレイの場合は10分)以降に1番一般的な「降参」の提案が出来ます。5人中4人以上の賛成で成立します。クイックプレイでは20分以降、5人中3人の賛成で成立します。成立した場合はもちろん負けです。降参通らなかった場合、すぐに再提案は出来ません。同じプレイヤーの降参投票の再提案はクールタイムが6分間、同チームで別プレイヤーのクールタイムが3分間です。
まとめると、降参できるのは原則15分以降です。それより前はAFKがいた場合の救済措置という側面が大きいです。今後焦点を当てて調査していきたいのは、一番最後に紹介した「降参」です。
なお、早期降参で負けた場合はLPの減少幅が小さくなりますが、これは早期降参に特有の物ではなく、AFKがいた場合に取られる措置です。AFKがいて、最後まで試合をした場合でもLPの減少幅は小さくなります。さらに、パッチ14.9からはLPの補填等がされるようになりました。どれくらいされるのか、必ずされるのかなどは今はまだ不明ですが、ありがたい仕様変更です。
開くとそれぞれの変更が書かれたパッチノートリストを開きます
1分30秒から3分までは、AFKがいるチームは無効試合投票の提案ができる(70%)3/4以上で成立https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/patch-12-21-notes/#patch-competitive
3分30秒から15分(ノーマルの場合は10分)の間にAFKがいるチームは、早期降参投票の提案ができる。3/4以上で成立
https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/patch-12-22-notes/#patch-competitive
https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/patch-13-21-notes/#patch-bugfixes-and-qol-changes
ランクは15分以降、降参投票の提案ができる。4/5で成立
https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/patch-13-7-notes/#patch-competitive
ノーマルは10分以降、降参投票の提案ができる。10分から20分未満は4/5で成立、20分以降は3/5で成立
https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/patch-13-22-notes/#patch-quickplay-launch
同じプレイヤーの降参投票の提案はクールタイムが6分、同チームで別プレイヤーのクルータイムが3分
https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/patch-13-16-notes/#patch-surrender-qol-updates
パッチ14.7と14.8のゲーム時間を調査
次はゲーム時間についての調査です。Riot APIを使って日本のランクゲームのデータを集めました。パッチ14.7と14.8で行われたゲーム、93023ゲームを集計しました。なお、これは標本調査です。つまり実際に行われたランクゲームの一部を集計しています。この集めたデータからゲーム時間を集計し、ヒストグラムを作成しました。
多くのゲームは20分後半でおわる
15分と28分に大きなピークのヒストグラム
図1がゲーム時間に関するヒストグラムです。折れ線グラフはその累積構成割合を表しています。1つ1つのビン(棒)は30秒で区切られています。
まず目につくのは15分から始まる鋭いピークです。これはおそらく、降参投票ができるようになりすぐに降参したゲームだと思われます。アウタータワーのタワープレートは14分で自壊します。15分はレーン戦が終わった直後なので、レーン戦が終ったタイミングで勝敗が付いたと判断され、降参で終わったゲームだと考えられます。18分未満で終わったゲームは全体の8.7%でした。
19分ごろに、明確なピークとは言いにくいものの顕著な増加があります。これは1度目の降参投票が通らなかったものの、同じチームの別プレイヤーが3分間のクールタイム後、すぐに降参投票を再提案、通った場合だと考えられます。
それ以降は、28分を頂点とする一番高く、裾が広い山があります。これらの多くはネクサスを破壊して終ったゲームであろうと推測されます。また、集計したゲーム時間の平均は28分30秒でした。なんかキリがいい値になってしまったため有効数字がわかりづらいのですが、秒に直してから小数第1位を四捨五入した結果が28分30秒、という結果でした。ヒストグラムの最も大きな値を取ったビンも28分00秒以上28分30秒未満なので、「多くのゲームは20分台後半で終わる」ということになります。より具体的には、25分以上30分未満で終わったゲームが全体の27.0%でした。個人的には40分以上のゲームはかなり長いゲームだと感じますが、そのようなゲームは約5%です。20分以降も一定数の降参もあると考えられますが、多くはネクサスが破壊されて終わったゲームだと考えられます。
今回集めたデータの中で一番長かったゲームは64分38秒でした。なお、最小値は4分31秒ですが、データを集める時に、無効試合が無いほうが都合がいいので、4分30秒以下のデータを集めていなことに起因すると考えています。理論的には3分30秒で早期降参投票が提案されて、最速で通れば3分30秒が勝敗のついたゲーム時間の最小値になると考えられます。この集めていないデータが多数あれば無視することは問題ですが、グラフを見れば明らかなとおり、早期降参である15分未満のゲームは0.9%と非常に少ないです。なので、降参について調べる、という目的では4分30秒未満のゲームを無視しても全体の結論に影響を与えないと考えています。今回はしませんが、AFKについて調べる場合は考慮した方がいいかもしれません。
15分に降参するとはどういうことなのか?
降参は明らかな負けゲームをさっさと終わらせる為に行います。ネクサスの破壊が大体28分ごろと推測されるので、15分の時点で勝つ可能性が0%ならば、その時点で降参することは平均して約13分間の得をしている、ということになります。その13分間、負けゲームをプレイしなくてもいいのでその分ストレスを受けない、というメリットもありそうです。LPは降参で負けてもネクサスが破壊されて負けても同じ量が減るので関係ありません。個人的な感想ですが、この「ストレスを受けない、ストレスから解放されたい」というメリットを受けるために降参するプレイヤーが多いような気がしています。
しかし、15分の時点で勝つ可能性が0%でないならばで間違った降参、つまり勝てるゲームを負けにしてしまう可能性もあります。これが、どれくらいの頻度であるのかは現状不明で、今後明らかにしたい点の一つです。今のところ根拠がない予想ですが、上位のプレイヤーではればあるほど状況判断が正しくできるので少なくなると考えています。
以前、私は時間別にゴールド差の勝率の統計を取ったことがあります。(過去記事リンク:【LoL】時間ごとのゴールド差と勝率の相関関係について)ちょうど3年前(パッチ11.10)のデータなので今は違うと思いますが、その時の数字を引用すると、15分時点で1000ゴールド有利ならば勝率65.9%、5000ゴールド有利は、勝率93.8%という結果でした。
このデータを使うと、15分の時点で1000ゴールドの不利は、勝てる可能性が約35%なので、降参で負けを確定させるのは悪手かもしれません。一方、15分で5000ゴールド負けていれば勝率は約6%です。さらに、ここから逆転して勝つ場合は、おそらく28分でゲームは終わりません。これで降参しないということは、時間と精神力を追加投入して6%の勝ちをつかみに行く、という判断をしたことになります。
ランクゲームであるということを考えると、降参してさっさと次のゲームに行くか、降参しないでこのゲームのわずかな勝率を取りに行くか、どちらの方がLPが得なのか?という問題になると思います。
降参した時点でのゴールド差は「正しい降参」「間違った降参」を判断するにあたって重要な指標になると考えられます。あるいは上記の2つの概念は連続的で両者のバランスをいかにとるか、という問題になるかもしれません。さらに言えば、「正しい降参」「間違った降参」という概念は間違っている可能性もあります。なんせ私がLoLのプレイ中に何の根拠もなく思いついたものです。今回の降参を調べるにあたり、あった方がよさそうな概念なのでとりあえずあると仮定しているだけのものです。
今回の結論
今回は降参に関する調査の第1弾として、降参の仕様とゲーム時間に関して調べました。降参は、ランクゲームについては15分から降参投票の提案ができ、5人中4人の賛成があれば降参が成立します。また、15分前でもチームメンバーに一定時間以上AFKしているプレイヤーがいれば試合を終わらせる投票の提案ができます。
ゲームの平均は28分30秒でした。ヒストグラムを確認すると、平均付近に1番大きいピーク、15分00秒以上15分30秒未満に2番目に大きいピークがあるグラフが得られました。また、19分前後にもピークとは言いにくいものの目立つ肩がありました。15分と19分に関しては上記の仕様から多くが降参によるゲームエンドだと考えられます。
次回以降への課題
次回の課題は、実際に降参で終ったゲームとネクサスの破壊で終ったゲームの割合をRiot APIを使って調べていきます。また、それ以降の課題として「降参時の金額差」「降参割合とランクの関係」等についても調べる予定です。ゆくゆくはどのような時に降参して、どんな時が降参しないほうがLPを最大にできるのかを明らかにしようと考えています。最後まで読んでいただきありがとうございました。