この記事はパッチ26.14の時に書かれています
【この記事の結論】低ランクはサレンダーしすぎ
プラチナ以下はエメラルド以上と比べて、サレンダーしすぎ
【要約】ランク別サレンダー率の調査結果
この記事ではLoLの日本サーバーのランク戦(パッチ26.6〜26.8)において、サレンダーの実態を調査、分析しました。全体のサレンダー割合はアイアンからエメラルドにかけて低下し、ダイヤモンド、マスターにかけて再び上昇する傾向が確認できました。
15分時点での金額差とサレンダー率の関係を分析したところ、プラチナ以下の低ランク帯は金額差の大きさに関わらず高ランク帯より過剰にサレンダーを選択していることが判明しました。一方、エメラルド以上では金額差に応じたサレンダーの判断基準に明確な差は見られず、上位ランクでサレンダー率が大きくなる原因は、上位ランクのスノーボールのうまさにあることが示唆されました。
【序論】日本サーバーの約4割がサレンダーで終了?
今回はサレンダー研究の第2弾です。LeagueOfGraphs.comによれば、前回の記事を書いた時から変わらず日本サーバーのサレンダー率は約40%で断トツで多いです。にもかかわらず、どんな時にサレンダーするか、あるいはしないかが言及されることはあまりありません。サレンダー投票が行われたもののサレンダーにならなかったゲームもあるので、おそらく半分以上のゲームで、「サレンダーをするかしないか」の判断をしていると考えられます。
サレンダー投票をするときに一番したくないことは、勝てるゲームをサレンダーして負けにしてしまうことです。特にランクゲームでは勝つことを一番の目的に行っているわけですから、これはどんなプレイングのミスよりも取り返しがつきません。
とはいえ、明らかに負けが決まっているゲームをサレンダーせずに続けるのはつまらなさを通り越してつらいこともあります。ランクゲームは勝つためにやりますが、そもそもLoL(やゲーム全般)は楽しむことも重要な目的なので、つまらなくてつらいゲームをサレンダーで終わらせることは理にかなっています。
すべての負けているゲームでサレンダーしていてはLPを無駄に減らしますし、かと言って全くサレンダーしないようでは気力や時間を無駄にしています。つまりどこかにラインがあってここまではサレンダーしない方がいい、これ以上はサレンダーした方がいい、というものがありそうです。しかし、サレンダーはプロシーンを見ていてもほとんどありません。つまりサレンダーに関する参考にすべき情報があまり出回ってはいません。
そこで、今回はランク別にサレンダーの状況を調べて、上位ランクと下位ランクでサレンダーがどのように比較して違いを明らかにしていきます。最初は、サレンダーがゲーム時間のいつ頃に選ばれているかを調べます。次に、15分から18分までの早い時間にサレンダーしたゲームに注目して、どれくらいの金額差の場合にサレンダーが選ばれているのかランク別に集計し比較しました。
【今回の検証条件】サレンダー判定の定義と注意点
集計するデータはRiotAPIを使いデータを集めた、パッチ26.6〜26.8の間に行われた日本サーバーのランク戦のデータです。しかし、RiotAPIの仕様上、あるゲームがサレンダーで終わったか、ネクサスの破壊で終わったかの情報が取得できません。そこで、「2本のネクサスタワーが破壊されてから負けた」ゲームをネクサスの破壊で終わったゲーム、それ以外をサレンダーで終わったゲームと定義しています。(この定義に関しての補足はこちら)
最初の集計としてまずは、ランク別にサレンダー割合を集計し、LeagueOfGraphs.comと傾向があっているか確認します。その次に、ゲーム時間をサレンダーしたか、していないかで集計し、サレンダーがいつされているのかを確認します。
【ランク別サレンダー率】一番サレンダーしないのがエメラルド
| ランク | ゲーム数 | サレンダー数 | サレンダー割合(%) |
|---|---|---|---|
| アイアン | 30053 | 13549 | 45.08 |
| ブロンズ | 108894 | 46878 | 43.05 |
| シルバー | 146601 | 57474 | 39.20 |
| ゴールド | 176284 | 62697 | 35.57 |
| プラチナ | 153052 | 50983 | 33.31 |
| エメラルド | 82504 | 26444 | 32.05 |
| ダイヤ | 36146 | 11754 | 32.52 |
| マスター以上 | 9910 | 3295 | 33.25 |
| 全体 | 743444 | 273074 | 36.73 |
表1はランクごとに、どれくらいの割合のゲームがサレンダーで終わったかを示したものです。アイアンからエメラルドまではランクが高くなればなるほどサレンダー率が小さくなる傾向があります。このままサレンダー率が小さくなると思いきや、エメラルドが最小値でそれより上のランクではむしろサレンダー率が上がっています。この傾向は上記サイトと同じです。(グランドマスターとチャレンジャーはゲーム数が少ないので、マスター以上としてまとめています)なぜこのような現象が起こるのでしょうか。
【ゲーム時間別サレンダー分布】最も多いのは15分台

図1、パッチ26.6から8におけるゴールドのゲーム時間ヒストグラム
図1はゲーム時間の分布をヒストグラムにしたものです。一つの棒(ビン)は1分です。紺はサレンダーで終わったゲーム、オレンジはネクサスの破壊で終わったゲームです。このグラフはランク別で一番ゲーム数が多いゴールドのものですが、傾向はどのランクでも同じです。サレンダー投票は15分からできるようになりますが、その瞬間の15分台のサレンダーがどのランク帯においても一番多いです。その後一気に落ち込んで、18分台に再び増えます。15分のサレンダー投票が通らなかったものの、サレンダーのクールダウン3分後に再びサレンダー投票が行われ、通った場合だと考えられます。それ以降はネクサスの破壊によるゲームエンドが増えていきます。
【最速サレンダー】15分時点の金額差に注目
次は、どれくらいの金額差でサレンダーが行われているかを集計します。ここで注意したい点は、金額差はゲーム時間によって意味が変わるということです。レーン戦中でコアアイテムもない5分での1000ゴールド差はかなり大きいですが、コアアイテムが6個そろっている50分での1000ゴールド差はほとんどイーブンです。つまり、金額差について議論する場合は時間を指定する必要があります。
そこで、15分から17分59秒でサレンダーしたゲームに焦点を当てることにしました。(以後、この記事では15分から17分59秒でのサレンダーを”最速サレンダー”と表現します。)最速サレンダーに注目する最大の理由は単純で、図1の通り、この時間帯のサレンダーが多いからです。
まずランク別に15分時点でどれくらいの金額差がついているのかを調べました。そして、そのうちどれくらいの割合で最速サレンダーがあったかを集計しました。
【15分時点での金額差の分布】高ランクほどスノーボールしている

図2、15分時点における、ランク別による金額差
図2は、15分時点での両チームの金額差を1000ゴールド毎に割合を示したグラフです。
ランクが上がると、15分時点でより大きなリードを作っている場合が多いことがわかります。具体的には、勝っているチームの有利が1000ゴールド未満と差が小さい場合は、ブロンズは約23%ですがマスター以上では約21%に下がります。逆に5000ゴールド以上の差を付けていることはブロンズでは約17%ですがマスターでは約22%まで増えています。
この結果を一言でまとめるなら、15分の時点で「ランクが上がれば上がるほどついている金額差が大きい」と言い表すことができます。よりLoLっぽく言い換えるとランクが上がれば上がるほど15分の時点でスノーボールが始まっていると言えます。
【金額差別の最速サレンダー率】低ランクほどサレンダーする傾向

図3、15分時点の金額差と最速サレンダー率の関係
図3は15分時点での金額差1000ゴールドごとに区切り、その金額差で負けている時にどれくらいの割合で最速サレンダーがあったかを割合で折れ線グラフで表したものです。例えばx軸に5000と書いてあるところは、15分の時点で5000ゴールドから5999ゴールドで負けている時の最速サレンダー率を示しています。(グラフの一番左の項目は負けている時の金額差がマイナス、つまり金額差で勝っている時のサレンダー率になっています。)そして、x軸に5000のところはオレンジで示されたブロンズの値が約20%となっています。つまりブロンズでは15分で5000ゴールドから5999ゴールドで負けている時、約20%で最速サレンダーがあったことを示しています。
このグラフにすべてのランクを表示すると見にくいので、一部のランクのみ表示しています。(すべてのランクに関してまとめた表はこちら)
まず、当然ですが金額差が大きくなればなるほど、最速サレンダー率が大きくなります。そして、オレンジで示されているブロンズはどんな金額差でもエメラルドやマスター以上と比べてより最速サレンダーしています。これはアイアンやシルバーでも同じような傾向になっています。つまり低ランクは金額差に関係なく、高ランクと比べてより最速サレンダーしているということがグラフから読み取れます。
エメラルドとマスター以上を比較すると、ほとんど同じ傾向か、マスター以上が最速サレンダー率がやや大きいようにみえます。マスター以上は集計したゲーム数が少なく、かつエメラルドとの差が小さいので、このグラフだけでマスターが本当にサレンダー率が少しだけ高いのか、あるいはたまたま上振れただけなのか、どちらかと言い切ることは難しいです。10000ゴールド以上でグラフが上下に振れているのも集計したゲーム数が少ないからです。
【考察】サレンダー判断の違いとスノーボール
ここまでの結果をいったんまとめます。
- アイアンからエメラルドまではランクが高くなればなるほどサレンダー率が下がる。エメラルドが最小値でそれより上のランクではサレンダー率が上がる。(表1)
- サレンダーはランクに関らず15分台に一番多い。(図1)
- 15分時点での金額差はランクが上がれば上がるほど大きくなる。(図2)
- 最速サレンダー(15分から17分59秒のサレンダー)に関して、15分時点での金額差別のサレンダー率をランクごとに比較すると、大抵の金額差でプラチナ以下はエメラルドと比べてサレンダーが多い。(図3)
- 最速サレンダーに関して、15分時点での金額差別のサレンダー率をランクごとに比較すると、エメラルド以上は明確な違いがほとんどない。違いがあるとしてもかなり小さい。(図3)
以上の結果から以下の考察が得られます。
まず、「プラチナ以下はたいていの場合、サレンダーしすぎ」です。これは表1から明らかです。さらに、15分時点での金額差別の最速サレンダー率でも大抵の金額差で、エメラルド以上と比べて値が大きいということも、サレンダーのしすぎであると言える原因です。また、素朴に考えれば、最速サレンダー、つまり15分から17分59秒のサレンダーが多すぎるということは、18分以降のサレンダーも多いと考えるのが自然です。
もう一つは「エメラルド以上は金額差による最速サレンダー判断がほとんど変わらない」です。エメラルド以上は15分時点での金額差別の最速サレンダー率で、大抵の金額差で最速サレンダー率がほとんど変わらないことがわかりました。これが意味するところはエメラルドでもマスターでも、金額差を基準にしたサレンダーの判断に関しては変わらないと言えます。
サレンダーの判断がほとんど同じなら、サレンダー率も同じになりそうですが、表1ではダイヤやマスターのサレンダー率はエメラルドより高くなりました。これは、図2によれば、高ランクはスノーボールしていて早いゲーム時間で大きな金額差がついているからです。つまり、高ランクのサレンダー率が高くなる原因はサレンダー判断が違うのではなく、ゲーム内のプレイ内容の違いから、大きな金額差が付きやすいからです。
【結論】そのサレンダーは本当に妥当なのか
以上から今回の結論は以下の2点です
「プラチナ以下はたいていの場合、サレンダーしすぎ」
「エメラルド以上は金額差によるサレンダー判断がほとんど変わらない」
【まとめ】サレンダーする前にもう一回考えよう
今回はランクごとにサレンダーに違いがあるのかを最速サレンダーを中心に検証しました。今回の検証から明日のランク戦に生かせるものを抽出するとすれば、「プラチナ以下は特に、サレンダーする前にもう一回考えよう」です。プラチナ以下は、高ランクのプレイヤーはまだ続ける意味があると考えているゲームでもサレンダーしてしまう状況があることがわかりました。次のランク戦からは「本当にここで終わっていいのか?」を一度冷静に見極めてみてはいかがでしょうか。
【付録】
15分時点の金額差と最速サレンダー率の関係
表2、15分時点の金額差とサレンダー率の関係
| 金額差 | ~-1 | 0~999 | 1000~1999 | 2000~2999 | 3000~3999 | 4000~4999 | 5000~5999 | 6000~6999 | 7000~7999 | 8000~8999 | 9000~9999 | 10000~10999 | 11000~11999 | 12000~12999 | 13000~13999 | 14000~14999 | 15000~ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| アイアン | 0.72 | 1.33 | 1.94 | 4.11 | 7.85 | 13.82 | 18.16 | 30.88 | 40.57 | 48.41 | 60.00 | 69.88 | 87.69 | 67.57 | 88.00 | 80.00 | 88.89 |
| ブロンズ | 0.33 | 0.98 | 2.14 | 3.73 | 7.21 | 12.45 | 20.75 | 29.64 | 39.63 | 50.92 | 58.98 | 68.69 | 75.12 | 79.81 | 83.33 | 95.65 | 84.62 |
| シルバー | 0.26 | 0.75 | 1.80 | 3.51 | 6.65 | 12.36 | 18.70 | 28.53 | 40.08 | 49.73 | 61.30 | 69.00 | 76.79 | 81.18 | 90.00 | 80.00 | 71.43 |
| ゴールド | 0.27 | 0.71 | 1.67 | 3.24 | 6.12 | 10.73 | 17.63 | 26.19 | 36.83 | 47.01 | 58.25 | 67.29 | 79.21 | 83.93 | 75.00 | 76.47 | 64.29 |
| プラチナ | 0.25 | 0.88 | 1.56 | 3.37 | 6.79 | 10.66 | 17.46 | 25.83 | 35.71 | 46.48 | 53.96 | 63.81 | 74.41 | 77.24 | 90.38 | 87.10 | 54.55 |
| エメラルド | 0.24 | 0.77 | 1.70 | 3.46 | 5.84 | 10.12 | 16.20 | 24.51 | 33.75 | 44.71 | 55.38 | 67.93 | 64.52 | 69.39 | 85.00 | 66.67 | 80.00 |
| ダイヤモンド | 0.32 | 0.85 | 1.88 | 3.91 | 7.15 | 10.47 | 16.97 | 25.04 | 33.47 | 43.81 | 56.16 | 62.32 | 64.17 | 74.12 | 74.29 | 76.92 | 80.00 |
| マスター以上 | 0.32 | 1.46 | 1.46 | 3.67 | 7.35 | 11.65 | 16.72 | 26.09 | 34.34 | 47.11 | 53.59 | 62.50 | 75.51 | 86.96 | 64.29 | 75.00 | 66.67 |
表中の単位は%
表の見出しの「金額差」は負けている時の金額差を示している。例えば、”エメラルド”の”3000~3999″が”5.84″は、エメラルドランクのゲームで、15分の時点で3000~3999ゴールドの金額差で負けているチームの5.84%が最速サレンダー(15分から17分59秒の間にサレンダー)していることを表している。
見出しの”~-1″は金額差で勝っている時。例えば、”アイアン”の”~-1″が”0.72″は、アイアンランクのゲームで15分の時点で金額差で勝っているチームの0.72%が(勝っているにもかかわらず)最速サレンダーしていることを表している。
ランク別最速サレンダー数
| ランク | ゲーム数 | サレンダー数 | 最速サレンダー数 |
|---|---|---|---|
| アイアン | 30053 | 13549 | 2675 |
| ブロンズ | 108894 | 46878 | 9038 |
| シルバー | 146601 | 57474 | 10870 |
| ゴールド | 176284 | 62697 | 12206 |
| プラチナ | 153052 | 50983 | 11268 |
| エメラルド | 82504 | 26444 | 6148 |
| ダイヤ | 36146 | 11754 | 3122 |
| マスター | 9910 | 3295 | 925 |
| 全体 | 743444 | 273074 | 56252 |
サレンダーの定義補足
本文にある通り、RiotAPIではあるゲームがサレンダーで終わったか、ネクサスの破壊で終わったかの情報が取得できません。
そこで今回は「2本のネクサスタワーが破壊されてから負けた」ゲームをネクサスの破壊で終わったゲーム、それ以外をサレンダーで終わったゲームとしました。しかし、これには明確な問題があります。それは「2本のネクサスタワーが破壊されたけどぎりぎりネクサス本体は耐えた。でも結局サレンダーした」ゲームをネクサスの破壊で終わったゲームとカウントしてしまうことです。つまり、サレンダーの数を過小評価してしまいます。とはいえ、大抵のゲームはネクサスタワーが破壊された直後にネクサスも破壊されます。このサレンダーの定義では、完全に正確ではないかもしれないが、今回の分析、調査に必要な数値が得られると考えています。
また、最速サレンダー(15分から17分59秒のサレンダー)に注目した理由の一つは、この過小評価の問題の影響をかなり小さくできるからです。早いゲーム時間で終わったゲームは「2本のネクサスタワーが破壊されたけどぎりぎりネクサス本体は耐えた。けど結局サレンダーした」ということがほとんど発生していないと考えられるので、今回の方法である程度正確にサレンダーの数を集計できたと考えています。
今後の課題
今回は、上位ランクのサレンダー判断が正しいという前提で、その判断と違う部分を調べました。しかし、最初にも書いた通り、日本サーバーはサレンダーが多い環境なので、上位ランクのサレンダー判断もサレンダーしすぎかもしれません。一方で、15分で10000ゴールド以上の差がついていてもサレンダー率が7割から8割ぐらいなのが予想外でした。この金額差はさすがに逆転の目が無さそうですし、特に高ランクは逆転が起きにくいのでもっと高いと思っていました。より客観的、定量的なものを利用して、現状のサレンダー率が高いのか低いのかを言えるようにしたいです。
実際にランク戦をプレイしていての感覚として、ちょっと不利な状況で何度もサレンダーが提案されるゲームがある一方で、結構な差がついて負けているにもかかわらずサレンダーが一度も提案されずにネクサスの破壊で終わるゲームもあります。これは、ちょっとの差でサレンダーを提案するプレイヤーや、全くサレンダーを提案しないプレイヤーなどいろいろいる傍証だと考えられます。だとすると、同じ100敗したプレイヤーでもその中の20敗しかサレンダーしていないプレイヤーや、60敗がサレンダーのプレイヤーがいるかもしれません。ランクごとではなく、プレイヤーごとのサレンダー率なども調べたいです。